The Willard 25th Anniversary Special Live!Quarter Century Anniversary Party ―The Great Voyage of Golden Chapter― @Ebisu LIQUID ROOM
05:40にタクシーを頼んでいたのに起きたのが05:16!やばいやばいと慌てて準備する頭の中に流れるのは『Fabulous 26 O'Clock』。正直こ の2週間くらいは年末攻勢とかいろいろでライブのことはあまり意識してなかったけど、昨日で最低限のことはカタがついたので、今朝に なってようやくエンジンがかかってきた。なんとか準備してタクシーに乗って、誰もいない通りを抜けてバスセンターへ。
朝6時台、空港へ向かうリムジンバスから見る空はまだ暗い。ぼてぼてした雲の間に爪のような月が。ヘッドホンから流れる『Tangerine Sky & Tiny Daisy Chain』の歌詞と少しだけシンクロ。07:30、ライブ開始予定時刻のちょうど12時間前に飛行機は羽田へと飛び立ち、"My Sweet Journey”の始まり。
ミーティングが終わり17:30、恵比寿のホテルにチェックイン。これまでのライブ参加暦は93年3月の『Funny Fears』TOURの心斎橋クラブク アトロ と、96年だったかの冬の新宿ロフト(確か)に続き3回目。でも殆ど前の2回は覚えてないんだよね…。2ちゃんではいろいろ言われてるけど、やはり今日は特別な日だ。18:00にホテルを出る。
そんなに腹が空いていたわけではないが、リキッド近くの某店で簡単な腹ごしらえ。でも、食べたものの味が判らない。カップを持つ手も 少し震えている。何だか緊張しているよ。開場10分前にリキッド入り。客層は”25周年”だからそれなりの年齢層(笑)。革ジャン層高し( と言っても日常生活の中で見慣れないからそう感じるので…半分以上は本当に普通の格好の人とか、仕事終わったビジネス系の人間も少な からず)。お子様連れも一組発見。ちゃんと親子で”帽子”コーディネイトしていて可愛かった*1。
入場は番号順にオフィ購入Aチケット〜通常チケット〜当日券の順。スタッフが番号を小分けして呼んでいたけどオフィチケット分だけでも300人くらいいたかも。自分は通常組。入場したロビーで物販。今回はオフィシャルに出ていた通り、パーカーとポスター、そして” ライブ終了後に販売”という張り紙告知は、2ちゃんで賛否両論の”ギャラリー”チケットとその前日のOn-Air-westライブチケ(多分初告 知)。ふーん、と自分は素通りして会場入り。
箱は自分の想像よりこじんまり。ステージ向かって左手にDJブースと壁にスクリーンあり、プロジェクターで"D.J.R”キャラの彼らのロゴ が映し出されており、多分なんか他にも映像やりそうだなー、と感じる。椅子席は関係者オンリーぽくて諦め、腰を下ろせるでっぱりのあ る左サイドに。自分が会場入りしたの18:50、だけどフロアは閑散としている。というのも先に入った人たちは物販に長蛇の列なのですよ。 正直今回のパーカーのイラストはどうかと思うのですが。
開演までDJが洋楽パンクのお皿を回す。開演までヘッドホンで過去アルバムの曲を聴いとこうと思ったのだけど場内が大音量なので諦める。25周年記念なんだから本人らの過去曲のメドレーでもかけてくれよ…というのはワガママか?予定時刻19:30前後、DJの姉さまの動 向から開演サインを読み取ろうとするけどなかなか終わらない。ご本人も何度も時計を見ながらまだかまだか…と気にされていたようだが 、19:50にようやくレコード音がフェイドアウト/ライトが落ちてライブ始まり。懸念されていた動員数もライブ開始時にはほぼ満杯でした 。
PV:Uruwashi No Baby 〜 SE:Tara's Theme(GONE WITH THE WIND)
- THE END
- WE LOVE YOU (The Rolling Stones)
- CHRISTHMAS RAID
- GOOD-BYE VACANT DAYS
- Sweet Bad Journey
- FAIRY TALE
- ALICE IN BORDERLAND
- Chase The Shooting Star (with Kazuya)
- Cheers
- LAY TO REST
- MISERY
- VAMPIRE NIGHT
- Legendary Bonnie & Clyde
- DAVID JAMES
ライトが落ちて『Uruwashi No Baby』のイントロが。壁スクリーンにバイクを走らせるバイカーの姿*2。『M.S.J』収録のPV(スタジオライブ風景)に撮り下ろしのロケ映像を追加編集した別バージョン。JUN(と思われるがヘルメットで顔が見えない)が海沿いをバイクで走り、OSHIMAとKLANが50年代のアメ車でそれに追走するイメージカット。…KAGAWAはいないの? PV終わってSE、メンバー登場。タンバリンと鞭を持ったJUNの「Quarter Century Anniversary!」(だったような)という挨拶でライブスタート。たて続けに5曲を演奏し、 会場のノリは中央前列のモッシュ/ダイブのブロックが盛り上がってるけど後はおとなしく体を揺らす程度。
今日初めてのJUNのMC。”いろいろメッセージもらってて感謝してます””今日は沖縄や北海道からも(ライブに来てくれている)”とストレートに感謝の念を示すJUN。その後のMCもライブ中の表情/アクションにも、JUNの”ご機嫌ぶり”が垣間見れて可愛かった(笑)。
第1部の中ではそのMC後の『FAIRY TALE』にぞくっと来た。バンドの音自体は特にどうということは無かったのだけど、スタートからそれまで のドライブする曲のあとということもあって、”無邪気で残酷な白昼夢”というJUNの詩世界が改めて際立った。直後の、同様の世界観を持 つ『ALICE IN BORDERLAND 』ではOSHIMA氏のドラムに注目。オリジナルのアレンジを少し崩して、Aメロではジャズ風にハイハットを刻み 、KYOYAが2バスでドドドドと突進していたサビ部分も1バスとタムのコンビでドッコドッコとリズミカルにしていたりで面白かった。8で は天井のミラーボールが回り、KAZUYA氏もふらりと参加(そしてふらりと退場)。OSHIMA氏は全編でコーラスにも参加。サイドの2人もマイクはあるけど殆ど使っていないのでJUNの“女房役”としてのOshima氏のイメージが今回のライブで私の中では定着しました。
第1部がちょうど1時間。一度緞帳が下りて休憩/DJタイム。水分補給したかったけどあえて我慢。約20分後、第2部スタート。
SE:The Stripper
- ELOISE(The Dammed)
- ROSE OR LOSE (with Masami Tsuchiya)
- Tangerine Sky & Tiny Daisy Chain (with Masami Tsuchiya and Kazuya)
- JUSTICE (with Tamami Kanda,Masami Tsuchiya and Kazuya)
- Uruwashi No Baby (with Yukarie)
- SILLY GAMES (with Yukarie)
- In Cindy's Mind - The Unforgettable (with Tsuneo Akima)
- 20th CENTURY BOY (with Tsuneo Akima)
- Rodeo Kid (with Tamami Kanda)
- RUN "CINDY" RUN (with Tamami Kanda)
- TOUCH ME(The Doors)(with Tamami Kanda,Masami Tsuchiya and Yukarie)
- PUNX SING A GLORIA
- STINKY VICE
「何やるんだっけ?」という照れ隠しのようなJUNのMCから『ELOISE』。演奏後「歌えてよ かったよ」というこれまた純情なJUNの言葉。ここからゲストタイム。「プロデューザーとして、ギタリストとして、すごく影響受けたし、尊敬しています」という紹介で土屋昌巳氏登場。D.ボウイのような凛々しきご尊顔に皆「おお〜」とどよめき、そしてそのファッション…遠目で上半身しか見えなかったけど、中世バロック風のジャケットとインナーで肖像画ないしは映画『アマデウス』のモーツアルトのような井出たちの氏の存在感には驚愕するしかなかったです。「シングルの曲です」で『ROSE OR LOSE』。心なしか会場内の合唱率が高かった 。もちろん私も*3。『Tangerine Sky & Tiny Daisy Chain』 『JUSTICE』と一人ずつゲストが増える。土屋氏参加の3曲はオリジナルよりほんの少しテンポが落とされていておかげで曲構成と演奏をじっくり味わうことができてよかった。特に神田珠美さんが初登場した『JUSTICE』は音がぶ厚くてかつ細やかで、総勢7人がステージ上にいるという壮観さ*4もあり、この曲だけでも今回のライブの価値はあった。演奏終了後、「良かったでしょう ?」というJUNの一言。─うん、とっても!! この3曲、土屋氏は譜面を見ながらのリードギター担当だったけど、いやぁ…格好よかった。KAGAWAの立場なし。
Yukarie姉が登場しての『Uruwashi No Baby 』『SILLY GAMES』は小気味よいR&Rタイム。Yukarie姉はTHE THRILLのライブを'93年に博多のイル・パラッツオというホテルで観たのだけど、あれから14年経っているのに全然エロかっこよさは変わっていない。感服。
秋間経夫氏登場。これもまたその存在感に会場どよめき。星マークのメイクはなかったけど例によってのグラムスタイルと色とりどりのガ ラス片を貼り付けた輝くレスポール。秋間「WILLARD25周年おめでとう!」JUN「ありがたいお言葉ありがとう」秋間「いやー25年バンド続けるってのは大変なんですよ・・・」この短いやりとりがまるで漫才のようで、かつ秋間氏の地声も哀川翔/生島ヒロシ系の鼻にかかる声なので会場小爆笑。JUN曰く「グリッターな」『In Cindy's Mind 』と、やはりやはりの『20th CENTURY BOY』をセッション。秋間氏はメインで歌うことはなかったけど大音量のギターそしてコーラスだけで“ぐわん”と氏の世界に引っ張られてしまう。家に帰ったらマルコシのアルバムを引っ張りだすとしよう。
『Rodeo Kid』で神田さん再登場。終盤では、OSHIMA氏のドラムとの”バトル”もあり、そして期待とおり『RUN "CINDY" RUN 』。先のYukarie女史とはルックスも衣装も全く異なる清楚な外見なのに、JUNも言うように的確でとてもクール。男どもの演奏をしなやかに調教するような佇まいは、別の意味でセクシーでした。
ここでメンバー全員退場。ここまででまた約1時間。
戻ってきたJUN、「疲れてない?」「もうちょっとやるよ」と言って再びセッションの『TOUCH ME』。そしてまた退場して戻ってきて『PUNX SING A GLORIA 』『STINKY VICE』は場内合唱&前列ブロック大暴れ大会。人波から2本の足がアオヌマシズマのように突き出ていました。
終了、客電ついて22:35。客の大半は次回ライブ&ギャラリーのチケットを求めて再度列を作り、その列を断ち切るようにして外に出た。
この10年間、ネット上の情報でその結果を眺めるだけでしかなかった待望のライブに”満足したか?”と聞かれれば答えは”YES”だ。まず、初体験のOSHIMA氏のドラムはいかつい風貌からの印象を裏切るような、パワーだけではない安定感と小技のセンスもあり、コーラスも含めてバンドをしっかり支えていたこと。また、沢山のゲストと大入りの客の前で25周年を迎える嬉しさが、饒舌ではないけど「感謝してます」「楽しいよ」といった言葉とファニーなアクションに体現されていたJUNを生で見れたこと。そして各ゲストコーナーではそれぞれのゲストの色によって多面的な音を楽しめて、上にも書いた”7人ウィラード”は、1曲だけだったけどその1曲にアンサンブルが凝縮された至福の瞬間だったこと。自分の勉強不足で誰の曲なのかも判らなかった『ELOISE』や『TOUCH ME』も、知っていれば楽しめたに違いない。
じゃぁ”またライブに行きたいか?”というと”うーん…”と思ってしまう。その理由は上記の裏返し。他のバンドで日常的にキャリアを積んでいるOshima氏以外のメンバーは(JUNを含めて)ステージングは貧弱で、ゲストでもいないとライブとしては物足りない。あらためて振り返ると、以前に参加した2回のライブが自分の中で印象に残っていない理由も、スタジオ録音された(JUNによってバランスが計算された)音世界に対する魅力(”信頼”と言ってもいい)とライブでのラフさのギャップが自分の中で不満があったからということに今回気づいてしまった。もちろん、自分が心燃やした曲が予想外に登場して、そこでコブシを挙げて合唱するのは楽しい。しかし哀しいかな、我を忘れて世界に飛び込むよりも世界を俯瞰しながらあれこれ考える性質なので、もっと全体の構成にメリハリ付けてくれよとか、もっとギターもベースも前に出ろよ、とかライブバンドとしてのカタルシスを求めてしまう*5。今回のラストの2曲も、オフィのリスト上ではアンコール扱いになるのだろうけど会場では誰もアンコールの声を上げてはいなかったよ。言うなれば「8時だヨ!全員集合」のエンディングの加トちゃんの「風呂はいれよ!宿題やれよ!」みたいなもんで、それが終わると皆あっさりと出口に向かっていたのには”え?そんなもん?”と少し驚いてしまった*6。
でも、普通のバンドの何たるかを彼らに求めること自体が大きな間違いなのだろう。今のウィラードは“ロックバンド”ではなくて、JUNが維持する“ロックブランド”なのだ。25年という歳月はJUNがバンドを維持させることではなくブランドとして生き残ることを選択してこれまで永続してきた過程(まさしく“Sweet Bad Journey”)であり、ブランドであればライブやグッズを限定してコアなファンにとっての希少価値を持たせる戦略は正しい。そして私はそんな希少価値には興味はないけど、これまで/これからのJUNの過程には興味がある。JUNの過程を理解するロードマップとしての作品群を改めて聴き返す中で、クールさやシニカルさではなく、「長い迷路の途中でまだ見ぬ明日を待つのさ」「立ち止まることが何を意味するかもう忘れることはない」などど、ふと吐露されるJUNの心情に私は”生きていくということ”を感じ、これからもきっと彼らを追跡していく。 最後だけど、25周年、おめでとうございます。
*1:THE WILLARDのライブ時ファッションで” 帽子”はポイント高いよね。JUNが時々被ってるような黒の山高帽の人も2、3見かけたけど体系(痩せ型)やファッション(黒ネクタイ、 黒のフロック系コート)までバッチリ決まっている男性もいればガッチリ体系でモヘアセーターを着てマジェント・マジェントみたいな人 もいた
*2:スクリーン見てなくて誰もいないス テージ見てる人も結構いた。
*3:ボーカルの誰かさんは1番と2番おもいきし間違えていたけどねー。
*4:異次元人のような土屋氏と清楚な神田さんと怪人JUNとヒゲおやじOSHIMAが同じステージで並んで演奏している姿を想像してほしい。
*5:何度も書くようで申し訳ないが、やはりKAGAWA氏の演奏力には不満がある。そしてそれは別にテクニックの問題ではなく、JUNとの関係/相性の問題のような気もする。ライブ中の表情もあまり楽しそうではなかったのが気になる。
*6:長丁場のライブに疲れて”早く帰りたい”という思いもあったでしょうが…実は私も。