3rd album『DER ZIBET』(1988.3.21)
DER ZIBET
アーティスト:DER ZIBET
出版社/メーカー:SIXTY RECORDS
発売日: 1988/03/21
- LADY OUTLAW
- Isolation Train
- 夜は千の淋しい目
- Yo-Yo-Yo
- 虹を見たか
- Only "you" Only "love"
- Sniper from 1985
- ANGELIC
- Night Reaction
- Pas SeulI(一人舞い)
- 口紅蜃気楼
- HAPPY STAR
88年、ロックシーンの期待を担って放つデルジベット驚愕の超重量級3rdアルバム!
狂おしいくらいにハード!グ、ガ、グ、ガのぶっ飛び!でも、すごくせつない。
噂が噂を呼ぶデルジベット。日本のトップバンドに必ずなる。(アルバム 帯コピーより)
「ボクは孤独って、すごく肯定的に考えてる。それは、自分に向かうことだから」
彼はそう言ってIsolation Trainを歌った。
「さびしいからアナタに、じゃなくて、”アナタ”がいないからさびしい。その辺をはっきりさせたかったんだ」
そこでOnly"You",Only"Love"が歌われた。
「ボクは、その人が生れおちた時から持っている無垢な部分が好き。皆んな、なんでそれをくずしてかなきゃならないのかな?」
モノを創り出すって孤独な作業だ。アーティストである4人は、だから孤独を肯定する。同時に、”無垢な部分を持ったアナタ”の少ないことへのさびしさ、感じるハズだ。
愛や孤独なアナタのこと、こんなにも切なく、ワイルドに、ワイルドだから余計に切なく歌われているDER ZIBET。
もし、この世界がとことん好きになったら、あの言葉を気にして欲しい。
”おまえの思うまま行け、1人ぼっちじゃない*1”
思うままに歩き出せた時、デルジベットは共にあるハズだ!(アルバム ライナーノーツより)
プロデューサーは、曲を分けて岡野ハジメ*2(3、6、7、9、10、11)と木崎賢治*3(1、2、4、5、8、12)の二人体制。新進気鋭と歌謡ロックの2つの方向性、加えて上記のコピーでアルバムタイトルがバンド名と、レコード会社の”本作に勝負賭けてます”的な意気込みが嫌でも感じられる3枚目のアルバム。レコード会社としては何とかBOOWYや吉川晃司のような大衆性の高い”売れるロック”が欲しかったのだろう。歌詞もそれまでの「僕」+「あなた」称が「俺」+「お前」になり、「今夜のお前は特別さ(1)」とか「BABY お前が欲しい(3)」といった刺激的なフレーズが満載*4(苦笑)。ISSAYの発声法も前作の柔軟なスタイルから噛み付き/吐き捨てスタイルに矯正(あるいは強制)されてかえって青さが目立つ結果に。そして音はどうかと言えば、前作なら”ガーン!””ギャーン!”とエッジの効いたギターの色も”シャーン””ワーン”と変にカドが取れて丸くなってしまい、全く面白くない。…と、ボーカルも演奏もせっかくの素材が奇妙な調理をされてしまい正直好きなアルバムではありません。高校進学のご祝儀に親に買ってもらったCDコンポ(当時の言い方)のために買ったCDアルバムの一枚*5だったのですが(笑)。
*1:Isolation Trainより。
*2:当時PINKは『CYBER』を発表し、解散云々で揉めていたころか。その他プロデュース実績としては既にTHE WILLARD、ちわきまゆみ等があった。
*3:ナベプロ出身。沢田研二、大沢誉志幸、吉川晃司等、80年代の”歌謡ロック”の仕掛け人的存在。
*4:歌詞は1がHIKARUとISSAYとの共作、3と5がHIKARU、4、6〜11がISSAY 、2と12がDER ZIBET名義でクレジットされている。
*5:同時に買ったのが今は無きゼロスペクターの『ユーフォリア』とTHE WILLARDの『MARCY FOR THE RABBIT』。なお、本当の意味で”初めて買ったCD”(中3)はTHE WILLARDのブートベスト『INDIES』で、遡って”初めて買ったレコード(中2)”THE WILLARDの『RUN "CINDY" RUN』で、さらに遡って”初めて買ったアルバム(中1。ラジカセしか持っていなかったので媒体はテープ)は大沢誉志幸の『in・fin・ity』だった。