『プラネット・テラー in グラインドハウス』(TOHOシネマズ緑井)

【解説】(allcinema ONLINEより)
B級映画ばかりを2本立て、3本立てで上映するアメリカでかつて流行った映画館“グラインドハウス”を現代に甦らせるべく、クエンティン・タランティーノ監督と盟友ロバート・ロドリゲス監督がホラー映画を競作した2本立てムービー「グラインドハウス」のうちのロドリゲス版で、独立した1本の作品として再編集されたディレクターズ・カット完全版。謎の化学兵器でゾンビと化した感染者が溢れかえる田舎町を舞台に、ゾンビに片脚を奪われたセクシー・ヒロインの怒りの“片脚マシンガン”が炸裂する近未来エロティック・バイオレンス・アクション・ホラー。主演は「ブラック・ダリア」のローズ・マッゴーワン。なお日本での上映に際しては、本編前にダニー・トレホが主演する架空のアクション映画「マチェーテ」の予告編も上映される。
 テキサスの田舎町。軍事基地で極秘裏に実験が行われていた生物化学兵器が流出・拡散、そのガスを浴びた人々が次々と凶暴なゾンビへ姿を変えていく。一方、ゴーゴーダンサーをしていたチェリーは、ゾンビ化した人間に右脚を喰いちぎられてしまう。彼女は元カレ、レイの助けを借り、木製テーブルの脚を義足代わりにして逃げ延びる。やがてチェリーは失われた脚にマシンガンを装着、次々と襲いかかるゾンビや兵士に向けて怒りの弾丸をブッ放すのだった…。

■3ヶ月ぶりの映画館。観るならとことんはっちゃけた映画にしましょう、ということで県下では↑でしか上映されていないので車で30分かけて到着。期待以上にはっちゃけたエロ/グロ/ナンセンスギャグ映画で出かけていって甲斐ありました。

■エロ:
ロドリゲス監督の嗜好もあるのでしょうが、ローズ・マッゴーワンの冒頭の着衣のポールダンスと中盤のティクビ無しの絡み(これも最後はオチがある)程度で大人し目。頭の悪いボインなおねぃちゃんがタンクトップやホットパンツでゾンビに追われて右往左往する(そして最後はもちろん喰われる)のが少し観たかったのですが。冒頭のインチキ予告*1マチェーテ』の中でのおねぃちゃんのハダカのほうが場内はウケていた。

■グロ:
R−15付きで、全編にわたって肉塊と血しぶきのオンパレード*2。近年の『ホステル』等のリアリティ追求の痛い描写ではなくて最近では懐かしいスプラッタ系のグチャグチャ描写*3が、恐怖ではなくギャグとしてスピーディでマンガチックに表現されている。後部を持ち上げたヘリのローターでソンビ達をミンチにするシーンには笑った。逆に導入部分の治療室内での症例写真のほうが生理的にグロかった。

■ナンセンス:
フレディ・ロドリゲスがいきなり体術の使い手となってジェイソン・ボーンよろしくゾンビ達をなぎ倒す(というか惨殺しまくる)とか、ポケバイ(!)で疾走しながらゾンビを射殺とか、バーベキュー屋店主のジェフ・フェイフィーが弟に秘伝のソースのレシピを教えてからリモコン爆弾のスイッチを押すとか、そしてメインコンセプトであるマッゴーワンの片足マシンガン回転乱射とか、無意味に格好よくてくだらないカットがてんこもり。個人的には、中盤から主人公らのパーティに合流する生存者の中に『コフィー』のパム・グリアを明らかに意識したルックスのおねぃちゃんがいてどーしても彼女に目が行ってしまうのだけど最後まで何の見せ場も台詞も与えられず単なる脇役で終わったのが笑った。あと、犬が轢かれるシーン。

■その他、年寄りのぼやき

  • 映画から長い間離れていると、恐ろしいほどに俳優の顔と名前が一致しなくなる。マッゴーワンが『スクリーム』に出ていたことをネットで検索してやっと思い出したり、『マチェーテ』の主役のダニー・トレホの名前を思い出すのに6時間近くかかったり、保安官がマイケル・ビーンであることに全く気づかなかったりその保安官を誤射して(ちゃんと誤射の伏線もある)結果死に至らしめる(その前に自分もゾンビに引き裂かれて死ぬ)、結構おいしい粗忽者がトム・サビーニ御大であることに言われるまで全く気づかなかったり。
  • マッゴーワンが映画途中から片足になってそれでも木の脚でアクションするシーンがあるのだけど、CGってすごいね。本当に違和感なし(子供の感想)。本当に不具の方が演技してるんじゃないかと勘違いする人もいるよ、きっと。
  • この映画を観にくる人でそんな人はまずいないのだが、マッゴーワンが片足マシンガンとなることは知らないほうが映画上のカタルシスは大きい。知っていると”一体いつマシンガンを装着するのか?”ばかり気になってしまった。
  • 上映時間の105分はジャンル映画としては長い。USバージョンの90分で十分。冷房のせいで途中でSICKOに行きたくでしょうがなかった。本編終わってトイレに走って、”エンドクレジット終了後のロドリゲス監督の思い入れで追加されたワンシーン”を見損ねた。

*1:『Don't』の予告をぜひ見たかった…。

*2:刃物ではなく銃器の使用が殆どのため切り株はなし。

*3:メイクではなくCGで表現されているのが時代ですね。