『ハチミツとクローバー』

【解説】(allcinema ONLINEより)
 2005年にTVアニメ化もされて大きな話題を集めた羽海野チカ原作の人気少女コミックを実写映画化。美大に通う将来も定まらない不安を抱えた男女5人の若者を中心に、登場人物のほぼ全員が片思いという甘酸っぱい青春模様を、オリジナルのギャグは控えめに等身大に爽やかに綴る。主演は人気グループ嵐の櫻井翔、共演に「CASSHERN」の伊勢谷友介と「花とアリス」の蒼井優
 浜美大に通う純朴青年、竹本。彼は花本研究室で知り合った森田、真山、あゆら先輩美大生たちと騒がしくも楽しい学園生活を送っていた。そんなある日、花本先生の姪のはぐみが入学してくる。可憐な容姿に似合わぬダイナミックな絵を描くはぐに、竹本は一瞬にして恋に落ちてしまう。突飛な行動を繰り返す森田もはぐに対し特別な興味を示す。一方、いつもクールな真山は年上の女性理花に、実らぬ恋と知りながら一途な想いを寄せていた。そしてあゆは、そんな真山の想いを痛いほど分かっていながら、彼への気持ちを抑えることができないのだった…。

■原作のマンガは読んでいない(今後もよっぽどの縁がない限り読むことはないと思う)が、巷の評判がほどよく良いので行ってみる。まぶしくも恥ずかしい”青春”のくすぐったい匂いに包まれて至福のときを過ごすことに少し期待した、というのもある。ちなみに、映画館に行くのは3ヶ月半ぶりです(※)
■普通に、良かったです。5人のキャストの描き方のバランスも、演じる役者のサジかげんもほどよくて嫌味もなく。5人がそれぞれ抱える”片思い”―身近な異性であったり恋そのものに対してだったり、ガラスの向こうにあるように目には見えるのに自分の手には届かない神が与えた”才能”であったりその対象は違うけど―というやっかいな青春の象徴に、5人それぞれが「あきらめない」ことでさらに前に踏み出して前向きに生きていることを示すラストも清々しい。
■5人も主人公がいればその中の誰に注目するのか、誰の目線で物語に参加するのか─という見方もあるが、自分は関めぐみが演じる「山田」目線で。竹本がはぐみに抱くような”一目ぼれ”にも、はぐみや森田が抱くような”才能への嫉妬と葛藤、そして愛情”にも、本当には判ってないのに判ったふりをしたくなかったから。そして何よりも彼女がいとおしく、マブかったから。
■一応主役は竹本なんですね。その竹本役の彼はとても栄養が足りているようで、寮で暮すひとり暮らしの大学生としては顔のラインが丸すぎるのが気になったのですが。最後の字幕で気付いたのですが、有名なアイドルの方なんですね。事務所の力なんでしょうか。もっと雰囲気がマッチする若手の役者もいただろうにと思うと、演技はそう悪くなかっただけにミスキャストっぽさが逆に残念。
■映画の感想としては以上だけど、当初の希望だった”くすぐったい匂いに包まれること”には今一つ至らず。それは映画のせいではなく、今の自分の気持ちの限界なのだろうけど。でも明日観るつもりのあの映画には、また期待してしまうのだけど…。

※:本当は8月6日に観にいこうかとも思ったのだけど。ハチクロだけにハチロク。不謹慎…。