第17話「死の影に追われて」HOME IS THE HUNTED

生まれ故郷に戻ってきたキンブルは、殺人犯の家族というレッテルをはられて自暴自棄になってしまった弟の姿に心を痛め、逃亡をあきらめようとするが……。(NHKホームページ放送案内より)

■孤独なキンブルにも肉親は存在する。では彼等はキンブルの逃走中、どのような心境で過ごしているか?−その設定はこのドラマが企画された時点で既に存在していたと思われるが、登場させるタイミングを放送開始からある程度時間を空けることで、キンブルの逃亡生活に十分に感情移入した視聴者の心情を掴んだものと思われる。電話にてキンブルがしばしの無言のあと、数年ぶりに妹と声を交わすシーンではそれだけで泣けてしまったし、その直後にキンブルの父親が処方された薬の種類だけでキンブルの存在を察するエピソードも上手い。
■ドラマのメインとなるのはキンブルに対してアンビバレントな感情を抱く弟との葛藤と和解であるが、キンブルがそのプロセスの中でいつもの冷静さを失い自暴自棄に陥る(※)のも、肉親の前だからこそか。

■ストーリー展開には直接関係ないが、キンブルの甥っ子2人が見せる「潜水士ごっこ」とか「インディアンごっこ」の無邪気さが、キンブルの逃亡生活の緊張感との対比でうまいアクセントになっている。

※:弟の前で自首をほのめかすキンブルに対して”信じるよ、だから行かないでくれ”と弟が懇願することで二人の和解となる。しかしその直後、父親に対して”うまく行きました”というキンブルの台詞で、「おいおい、芝居だったのかよ」と少し興ざめ。