『イーオン・フラックス』

【解説】(allcinema ONLINEより)
「モンスター」でアカデミー主演女優賞を獲得したシャーリーズ・セロンがセクシーな女戦士に扮したSFアクション。韓国出身クリエイター、ピーター・チョンの人気TVアニメを基に「ガールファイト」のカリン・クサマ監督で実写映画化。
西暦2011年、人類は新種のウィルスにより99%が死滅、科学者トレバー・グッドチャイルドが開発したワクチンのおかげでなんとかぎりぎりのところで全滅を免れた。生き残った500万人は汚染された外界から隔てられた都市ブレーニャで安全かつ平和な生活を送るようになる。しかし西暦2415年、トレバーの子孫と科学者で構成された政府は秩序維持の名の下に圧政を敷いていた。そんな政府に強い疑いを抱く反政府組織“モニカン”は、最強戦士イーオン・フラックスに君主暗殺を命じ、政府の中枢である要塞へと送り込むのだった…。

バウハウス調の建築デザイン、西洋宗教文化のエッセンスの濃い衣装、特に説明なく劇中使用されるバイオテク/ナノテク武器・小道具等のビジュアルコンセプトは個人的にはツボ。シャーリーズ・セロンは別に好みではないけど、全身タイツでグラマラスな長い脚が跳ねる姿は小気味よい。しかしそれ以外は、ストーリーも人物描写も音楽も”壁で外界と遮断された管理都市”という設定の活かし方もすべて浅い。TV等のパブリシティで頻繁に使用されていたアクションシーンが物語の前半で披露されたあとはインパクトのある見せ場もなく、ずぐずぐと腰砕けとなっていった。せめてセロンの衣装だけでも、後半は違うパターンを見せて欲しかった。
■『ガールファイト』は未見だけど、監督のカリン・クサマのバックグラウンドから推察するに、彼女はこの作品の世界観を料理するにはきっと真面目すぎるのだ。ゲイル・アン・ハードを初めとするプロデューサー陣もこの手の映画に強いとは思えない。自分がプロデューサーであればこんなコンセプトで;
1)ウォシャウスキー兄弟に撮らせてバレットタイムとデジロックバリバリのワイヤーアクションに(←あ、それをやろうとして失敗したのか…)
2)McGに撮らせてはっちゃけギャルアクションに(←そうなるとセロン以外のキャストは力不足。思いつきだけど、個人的にはスー・チーを。)
3)カート・ウィマーに撮らせてガン=カタを(←それじゃぁ”UltraViolet"だよ!)