思うことあって

■映画館をレストランに例えると、昼間の通常番組が万人向けの定番メニューならばフィルマラは店が腕によりをかける「特別コース」です。店側が頭をひねりながら旬のテーマと素材を組み合わせて出してきたものを、「どんなのが出るのかしら?」と客も楽しみながら時間をかけて味わう。それは店(映画館)にとってのアイデンティティでもあり、企画のない映画館はただのハコでしかありません。CSやレンタルで何でも観れる時代だからこそ「これを観ておいたほうがいいよ」というガイドとしての役割を、シネコンやチェーン系ではない単館映画館は担っているはず。

■しかし、”フィルマラに行くことで、もっと映画が好きになれる”と映画ファンが皆思ってくれて、毎回席が満杯になれる状態を作れる程には、フィルマラやそこで組まれる旧作・佳作の魅力が伝わっていないのことも感じています。

■じゃぁ、自分はフィルムマラソンのために何ができるんだろう? ”フィルマラに行くのはコアな映画ファンだけ”という敷居の高さがあるのなら、それを取っ払うことはできないか。”昔の映画はつまらない”という偏見があるのなら、なぜ今も語り継がれリバイバル公開されているのか、その面白さを伝えることはできないか。−ことばを手繰ることの好きな自分としては、まずフィルマラを語ることをやってみようと思いこのブログを始めました。

■フィルマラを取り巻く現状として、かつてフィルマラに参加していた世代が映画館自体に足が遠のいてしまったり、また現在映画館に通っている若い年代層はフィルマラへの参加経験がないために、”フィルマラ=縁遠いもの”という捉えかたをされているのかもしれない。その状態を何とかしたい。映画館で夜通し映画を観るということ、自分の知らない映画を主体的に観るという行為の価値について自分自身再確認したい、またフィルマラに何かしらの関りを持っていた/これから持つ可能性のある方々にその価値を確認してもらいたい、という気持ちです。その確認の中で、「これから」が生まれてくればよいかな、と。