『バッド・エデュケーション』

【解説】(allcinema ONLINEより)
「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」のペドロ・アルモドバル監督が、2人の青年の過去から現在に至る壮絶な愛と裏切り、渦巻く欲望をスリリングに描いた半自伝的ドラマ。主演は「モーターサイクル・ダイアリーズ」のガエル・ガルシア・ベルナルと「アナとオットー」のフェレ・マルティネス。
1980年、スペインのマドリード。新進映画監督のエンリケは、若くしてすでに成功を収めていた。そんな彼のもとにある日、少年時代の親友イグナシオが脚本を手に突然訪ねてくる。神学校寄宿舎では強い愛で結ばれていた2人だったが、イグナシオの変貌ぶりに戸惑い、疑念を感じてしまうエンリケ。一方で彼は、差し出された脚本の内容に惹き込まれていく。そこには少年時代の彼らの一途で純粋な愛と、それを引き裂く悲劇が綴られていた。2人はその脚本を基に自伝的な映画の撮影を始める。しかしその後、エンリケはイグナシオの大いなる秘密を知ることになるのだった…。 

バーナード・ハーマンにくりそつなアルベルト・イグレシアスのストリングスに乗せた、スリリングでいかがわしいデザインのタイトルバック。一目で「アルモドヴァル!」と判る色彩のセットと小道具。キッチュなゲイ・ファッション&アクション。欲望と殺人/現実と虚構が入り混じるストーリーetc…。 アカデミーとカンヌを征した国際的巨匠と、今をときめくラテン系男優のコラボで今回はどのような重厚な人間ドラマが…?という先入観は裏切られ、かつてのフィルマラ(“一生女は愛さない”特集)の常連監督だったころのアルモドヴァル・テイスト再び。 

■1時間45分という尺は今どきの映画の中では短めの部類に入るはずだが、観ていて実際の経過時間よりも長く感じられてしまった。理由としては、真実を知ったエンリケの葛藤もエンリケに接近したアンヘルの本意も今ひとつ伝わってこないまま、出来事/事件が冗長(”丹念”ではない)に描かれたためか。

■どこまでが実話なのか判らないが、もう少しテンポが早いくらいがちょうどよい内容の映画だと思う。あのとってつけたようなエピローグも含め、決して嫌いな映画ではないのだけど、一度大御所のレッテルを貼られるとそのイメージから脱するのは難しいか。
[rakuten:cinema:10049600:detail]