クルテクとズデネック・ミレルの世界(Bプログラム)

【解説】(allcinema ONLINEより)
もぐらの主人公クルテクが森の仲間たちと繰り広げる愉快な日常を描いたほのぼのアニメ“クルテク”シリーズで知られるズデネック・ミレル。日本でも2002年の劇場公開以来、多くのファンが生まれた。そんなズデネック・ミレルが手掛けた短編アニメ26作品を3つのプログラムに分けて紹介する特集上映。
クルテク”シリーズの原作者であり監督でもあるズデネック・ミレルは、ほかにも多くのアニメーションを手掛けている。クルテク同様、本国チェコで愛され続ける名作“コオロギくん”シリーズ、好奇心旺盛な子犬が主人公の“知りたがりワンちゃん”など、いずれも愛らしいキャラクターと素朴なタッチが魅力の心温まる作品ばかり。そんなミレル監督の世界が堪能できる選りすぐりの全26作品を集め、A、B、Cの3プログラムで上映。大人気の“クルテク”シリーズからも本邦劇場未公開の3作品が上映される。

■目当ては『コオロギくん』シリーズだったけれど、『キツネとオオカミ』『月のおはなし』に感激。

■『コオロギくんとのこぎり』『〜とコントラバス』『〜とエンジン』は、相変わらず、キャラの喜怒哀楽の表情や手足の細かいアクションがどれも楽しくて可笑しい。『〜とのこぎり』のマルハナバチのおじさんは、まんま「プリングルス」の王様顔でかわいい。最後は横山ホットブラザーズのノコギリ芸が登場。

人形アニメによる実写『キツネとオオカミ(1956)』は、”オオカミが道に残った足跡や轍から餌の在り処に感づく”演出や、キャラを上空から捉えたショットや、追いかける犬軍団→逃げるオオカミのカットバックなど、実写のアクション/サスペンス映画のテクニックがふんだんに盛り込まれていて飽きさせない。ミレル映画には、キャラ造詣の魅力はもちろん、このような小気味良いアクション演出がふんだんに有ることもあなどれない。

■『月のおはなし(1958)』、これはアクションではないけれど、”窓辺の画用紙に描かれた寂しそうな娘に恋をした月からの妖精”という設定がロマンチック過ぎ。「氷の結晶」をモチーフにした見事な美術デザイン、そして美しく哀しいラスト。こちらはアクション監督とはまた別の、ファンタジー作家としてのミレルの持ち味が素晴らしい小品。