『クルテクとズデネック・ミレルの世界(Aプログラム)』

【解説】(allcinema ONLINEより)
もぐらの主人公クルテクが森の仲間たちと繰り広げる愉快な日常を描いたほのぼのアニメ“クルテク”シリーズで知られるズデネック・ミレル。日本でも2002年の劇場公開以来、多くのファンが生まれた。そんなズデネック・ミレルが手掛けた短編アニメ26作品を3つのプログラムに分けて紹介する特集上映。
クルテク”シリーズの原作者であり監督でもあるズデネック・ミレルは、ほかにも多くのアニメーションを手掛けている。クルテク同様、本国チェコで愛され続ける名作“コオロギくん”シリーズ、好奇心旺盛な子犬が主人公の“知りたがりワンちゃん”など、いずれも愛らしいキャラクターと素朴なタッチが魅力の心温まる作品ばかり。そんなミレル監督の世界が堪能できる選りすぐりの全26作品を集め、A、B、Cの3プログラムで上映。大人気の“クルテク”シリーズからも本邦劇場未公開の3作品が上映される。

■『クマのクブラとクバ・クビクラ』(美術/1955年/17分)
ベースとなるのは東欧の民話だろうか?ストーリー的にはやや間延びした間あり。切り絵を遠近に組み合わせて撮影するという手法は、かのゲキメーション(テレビ版「猫目小僧」)を彷彿とさせる。
■『お父さんは12人』(美術協力/1959年/13分)
いわゆる「ミレルらしさ」はあまり感じられない、今風に言えば”ネグレクト問題”を扱った短編。最後の子供の手書き風の”KONEC”もちょっと後味悪い。
■『知りたがりワンちゃんと水』 (監督、脚本、美術/1960年/10分)
クルテクシリーズに先駆ける子供向けキャラクター「知りたがりワンちゃん」シリーズの一遍。ワンちゃんがキュート(尻の穴が…)。
■『さんかくとしかく』(監督、脚本、美術/1965年/9分)
意味のある台詞なし(笑い声や話声はあり)、且つ”さんかく”と”しかく”という無生物を、ちょっとした動き等で子供の遊びに見立てるテクニック。これは切り絵アニメだけど、ミレルの手による人形アニメもあるのなら見てみたい。
■『イモムシくんは大スター』(監督、脚本、美術/1967年/17分)
無邪気な主人公が大スターになり、過密スケジュールと加熱するブームに…という流れは約20年後の『もぐらくんは大スター』の原点。最後の『別れ」が泣かせる。
■『コオロギくんとバイオリン』(監督、脚本、美術/1978年/5分)
■『コオロギくんとクモ』(監督、脚本、美術/1978年/5分)
ミレルがクルテクシリーズの短編(5〜6分)シリーズを一旦終了し、新たに手がけたのが「コオロギくん」シリーズ。テイストは従来のクルテクシリーズと同様(コオロギくんは「あろー」とあいさつするし、何かあるとすぐ「ワーン」と泣く;そこが好き)なのだが、「虫」の特徴をストーリー設定にうまく盛り込んでいる。8本の手にロープや包丁を持って襲い掛かってくるクモの動きはコミカルだけど怖い。
■『もぐらくんとまほうのえ』(監督、脚本、美術/1999年/5分)
90年代のクルテクについては、ミレル自身がかなりリラックスして(あるいは悪ノリして)作っている雰囲気が伝わってくる。この作品はテレビシリーズ?のアイキャッチ用の短編アニメをベースして作られたものだと思うけど…。