『スウィングガールズ』

解説】(allcinema ONLINEより)
ウォーターボーイズ」で男子のシンクロナイズドスイミングを取り上げた矢口史靖監督が、今度は東北の高校を舞台に、ひょんなことからビッグバンドを組んでスウィング・ジャズの演奏にハマっていく女子高生たちを描いた青春音楽ドラマ。17人の落ちこぼれ高校生たちがジャズに触れ没頭していく姿を爽やかに綴る。主演は「チルソクの夏」の上野樹里。バンドのメンバー全員が4ヵ月にわたる猛特訓の末に、劇中で演奏される楽曲すべてを吹替えなしでこなした。
東北地方のとある片田舎の高校。夏休みのある日、13人の落ちこぼれ女子生徒たちは教室で数学の補習を受けていた。その時、補習組の一人、鈴木友子が高校野球予選の応援に行ったブラスバンド部の仕出し弁当が遅れて届いたことに気づき、弁当運びを口実に13人はまんまと補習を抜け出すことに成功する。だが道中、弁当は長い時間炎天下に晒されてしまい、それを口にしたブラスバンドの生徒たちは、次々と腹痛を起こして入院する事態となった。唯一難を逃れた拓雄は、次の試合までに即席のブラスバンドをつくることにするが、集まったのは補習をサボるのが目的の友子たち13人と、ちょっと変わった女子3人だけだった。そこで拓雄は、17人でも演奏可能なビッグバンドジャズをやろうと思いつくのだが…。

■巷では”『ウォーターボーイズ』の矢口監督が〜”という切り口でのパブリシティが溢れているけれど、”『ひみつの花園』の〜”、”『裸足のピクニック』の〜”という言い方が相応しいガーリー・ムービーの快作。
■『ウォーターボーイズ』はラストのシンクロ演技のシーンは確かに素晴らしいけど、そこまでのプロセスにおける”楽しさ”が、男優陣の演技から今ひとつ伝わってこなかった*1し、『アドレナリンドライブ』はハジケきれない石田ひかりがミスキャストだった。しかし今作、「なんかいいべ?」と無責任なノリで周りを巻き込んでいく上野樹里のハジケっぷりは『ひみつの花園』の西田尚美、『裸足のピクニック』の芹沢砂織の”矢口ヒロイン”の系譜にふさわしい。

■ポスタービジュアルの”楽器を持った女学生”の姿は何とも格好いい。本編の演奏シーンも、アクション映画のヒロインが銃器を撃ちまくるように楽器を吹きまくる様で格好いい。そう、やはり矢口映画は、ヒロインが身体張ってナンボの”アクションガーリー映画”なのだ。

スウィングガールズ スペシャル・エディション [DVD]

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*1:”初登場シーンが自販機への跳び蹴り披露のヒロイン”とか、”火事よ/火事よ/火事なのよ♪”とラインダンスを踊る双子とか、小技は矢口テイストだったけどね。