『スリープレス』(駒川タナベキネマ)

イタリアン・ホラーの巨匠ダリオ・アルジェント監督が、名優マックス・フォン・シドーを主演に迎えて描くスタイリッシュなサスペンス・スリラー。容疑者死亡で幕を閉じた17年前の連続殺人を思わせる事件が再び発生。当時、母を殺された少年と事件を担当した元刑事が捜査を始めると、やがて驚くべき真相に辿り着く。
1983年。イタリア、トリノ。市民は、若い女性ばかりを狙った悲惨な連続殺人事件に震撼していた。この日もまた、とあるアパートでひとりの若い母親が無惨に殺害される。駆けつけたモレッティ警部は、母の死体を前に呆然と立ち尽くす少年ジャコモに、「犯人は必ず見つけ出す」と誓うのだった。やがて、容疑者と目された小人の作家が変死体で発見され、事件は幕を閉じた。それから17年後、当時との関連を示す連続殺人事件が発生。既に現役を引退したモレッティと青年となったジャコモは警察とは別に二人で協力して事件の捜査に乗り出すのだったが……。

■大阪での映画スポットである新世界/天王寺よりさらに南下し、駒川の”タナベキネマ”へ。昼間はアニメ『ワンピース』(春休みだから)なんかやっている町の小さなロードショー封切り館だが、夕方から番組がB級アクション/サスペンスの2本立て1200円に替わり、オールナイトで朝まで上映するようなスタイルに変化する。夕方、日が暮れるころになると”オッチャン”たちがぽつぽつと入場、その方々の多くはどう見ても「そこで一晩過ごす」ことが目的のようであり、中には待合ロビーの椅子の上に完全防寒で既に寝に入っている方もいる…。そして館主の方もそれをごく普通のように受け止めている、町の劇場の持つある意味の”暖かさ”があった。
■さて、念願のD.アルジェントの新作だったけど…念願だった割には、その出来の悪さにもそれほど失望することなく「ま、アルジェントももう歳だし」とあっさりと割り切れたりする。