『ノーマンズ・ランド』

【解説】(allcinema ONLINEより)
ボスニア紛争真っ直中、“ノー・マンズ・ランド”と呼ばれるボスニアセルビアの中間地帯に取り残された、敵対する二人の兵士を中心にそれを取り巻く両陣営、国連軍、マスコミを登場させ、笑いの中で戦争を痛烈に皮肉り、その不条理や愚かさを見事にあぶり出した辛辣な戦争コメディ。紛争当時、自らカメラを手に最前線に立ち、数多くの映像を撮り続けたダニス・タノヴィッチ監督の長編デビュー作。周到に練られた脚本は各国で絶賛され、2001年のカンヌ映画祭脚本賞を受賞したほか、2002年のゴールデングローブ賞アカデミー賞外国語映画賞もW受賞。
1993年6月。ボスニア紛争の最前線。霧で道に迷ったボスニア軍の兵士たち。いつの間にか敵陣に入り込み、気づいたときにはセルビア軍の攻撃が始まっていた。唯一の生存者チキは、なんとか塹壕にたどり着き身を隠す。そこは、ボスニアセルビアの中間地帯“ノー・マンズ・ランド”。偵察に来たセルビア新兵ニノと老兵士はボスニア兵の死体の下に地雷を仕掛けて引き上げようとする。その瞬間、隠れていたチキが二人を撃ち、老兵士は死に、ニノは怪我を負う。チキとニノの睨み合いが続く中、死んだと思われていたボスニア兵が意識を取り戻す。しかし、少しでも体を動かせばさっき仕掛けた地雷が……。チキはまさに身動きできない仲間を気遣いつつも敵兵ニノに眼を光らせるのだったが……。