『おかえり』

横川シネマの前身である広島ステーションシネマでの初見から約3年ぶりの再観。改めて見ると、屋外以外の会話のシーンはカメラを固定してワンシーン=ワンカットの長まわしが多いことに気がつく。それに乗じて、主役の上村美穂嬢のテンションが高く(役柄上)、画面に緊張感が与えられている。対する兄さんの演技は、「引き」の演技。物語当初は単なる優柔不断的でしかなかったやさしさが、壊れていく妻を受け止めていく中で、強い包容力が備わったやさしさに変わっていく。すすり泣く彼女を兄さんが抱きしめ、子供をあやすように抱擁するシーンの美しさ、せつなさ。
また、コミカルなシーン(*1)には、客席の若い女性層からも笑い声も結構上がっていた。
ところで、この映画により数々の映画祭で主演女優賞を取った上村嬢は今どうしているのだろう?もともと映画ではなく演劇畑の女優さんだったと聞いているから、そちらの世界に戻ったのだろうか。

■映画が終わってロビーに出ると、入口のカウンターの向こうに兄さんがいた…。てっきり、トークが終わって帰ったものと思っていたからビックリ。ひょっとして最後までいるおつもりだろうか…。

■「えー『おかえり』のビデオ、本日販売分には寺島さんのサインが付きます。ふところに余裕のある方は、是非…」溝口氏からのやや控え目な売り文句。欲しかったけど…1万ン千円は高いよ。この値段はセルビデオの領域を越えてるよね。お金は持ってたけど、買わなかった。(*2)