album『デストピア』(SMS)

alter-m-nn1985-01-21

デストピア』では埋没していく日常性の中での自己に立脚した理想郷を造り、『イースタニア』は日常の中で流浪する自己を幻想として、自らの中に王国をなし、自我を支配することを目的とした。『バイブル』は、その幻想国家の賛歌、もしくは手引きとして作られた。(ドキュメント『HISTORY』、ジュネによるコメント)




AUTO-MODのメジャーデビューアルバム、遂に登場! 今年春の解散に向けて、大胆な活動を繰り広げるAUTO-MODの研ぎ澄まされた感性を凝縮したサウンド・コラージュ ジュネのエロディシズムに満ちたヴォーカルがモダンなサウンドに絡みつく意欲作 1/21日英同時発売(←当時の雑誌広告コピー)




インフォメーションによれば”『デストピア』はオート・モッドがパンク・ロックの発展形態として提示するグラマラス・アートである”ということになるが、やはり全体的にはデビッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』にイメージの重なる部分を多く持っているようだ。BOØWYのメンバーである布袋寅泰のギター・プレイをはじめとするサウンド・ワークと、シアトリカルなジュネのヴォーカル・スタイル。それは意外なほどヴァラエティにとんだ音楽性をそなえている。(「宝島」85年3月号)

「時の葬列」を華々しく飾る3部作アルバムの第1作。ジュネ(Vo,Piano)、布袋(G,Linn-Dr,Key.)、貢(Ba)の面々でこれまでバンドとしてライブで演奏してきたレパートリーを打ち込み形態で再アレンジし*1、曲間にボイスパフォーマンスやS.E.を配したサウンド・コラージュアルバム。アヴァンギャルド(死語)とポップの境界を揺れる打ち込みサウンドパラノイア的な悪夢世界を煌びやかに飾るゴスアルバム。幕開けとなる1曲目『レクイエム』はイントロの部分から背中がゾクゾクする。当時のライブメンバーで、本来のバンドアレンジでレコーディングされていたらもっと凄いアルバムになっていたのだろうな…(2007.09.15)

*1:布袋にとってはBOOWY『インスタント・ラブ』に続く2作目のセルフプロデュース作品。というか姉妹作と言えるくらい音は似ています。特に1曲目同士。キーボードの使用に制約のない『デストピア』のほうが幾分、音の厚みがある。今の耳で聞くと『インスタント・ラブ』は本当に音密度がスカスカ。作った布袋自身も黒歴史に入れてるんじゃなかろうか。