Live〜バレンタイン・イヴのロック・トリップ!〜@東京INKSTICK芝浦FACTORY (1987.2.13 )
「70何年に一度の、13日金曜仏滅満月の日」のライブは、2ndアルバム『Electric Moon』発売記念で、ホーン・セクションも参加している。キッチュなダンス・パーティ色が、刹那性を更に醸し出していた。なおこの日演奏された”Baby,I Want You"と”キスミープリーズ”は、『Electric Moon』CD化の際にボーナス・ライブ・トラックとして収録されている。
- ミステリーパーク イン パラダイス
途中見せる4拍子のジャズ的存在が、圧倒的に格好よい。
- 少年達の固いポケット
初期を代表する「青さが鋭過ぎる」思春期ソングだが、ホーンとの絡みが力強さを生んで、更に鋭さに磨きをかけた観がある。
- ロシア(氷河期の街)
「ここではないどこか」的な、逃避願望に満ちた世界観まで現出してしまった個人的絶望感が怖い曲。オリジナルの機械的なビートがこのライブ・ヴァージョンでは見事に肉体化されていて、いっそう怖さを増している。
- 沈みたい
ロマンチックなナンバーなのに、やはり唄われている「想い」は、漠然とした救いや解放を心から渇望してやまないSOS信号なのだから、これもまた尋常の切なさではない。
- FLOWERS
私が個人的に、「本作のベスト・トラック」と強力に確信している曲だ。「くるくる踊って咲きほこれ」「きらきら輝きくだけ散れ」と唄い上げられるサビは、永遠の名曲に相応しい。混沌と煩悶だらけの袋小路状態の「自分」であっても、それが「自分」なんだ、という確信に満ちた自己表現はやはり徹底的に美しい。演奏もやたらドラマチックなのだが全く厭味なく、またそれが感動的でたまらない。(市川哲史、Live album『official?』ライナーノーツ)