『小さな恋のうた』

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こうの史代とモン8、いやこうの史代とロックという取り合わせが想像つかんまま読む。読みきりの短編ながらも、瀬戸内・本屋・植物・畳・煮物といった設定や小道具、主役二人の対比コマや人間関係の変化を徐々に明らかにさせていく巧みな展開はいつものこうの節。やさしく切ない、青春に別れをつげて大人になっていく男女の物語。
■でも一読目ではまだ、なぜ『小さな恋のうた』なのかしっくりとこなかった。しかし心の中で反芻させて、もう一度読んで、わかった気がした。これは『小さな恋のうた』を口ずさんでいた”あの頃”を持つ男女の物語。そのころに戻れることを一瞬願いつつも、「家督」や「しきたり」といった大人の服を着て歩いていくやさしき者たちの物語。しかし心の中で口ずさむのはあの日のうた。