『クロエ』

【解説】(allcinema ONLINEより)
俳優としても活躍する利重剛監督が「BeRLiN」以来6年ぶりに撮り上げた切ないラブ・ストーリーボリス・ヴィアンの恋愛小説『日々の泡』(または『うたかたの日々』)を基に、肺にできた睡蓮の蕾によって命を奪われようとしている美少女とそれを懸命にくい止めようとする青年の姿をファンタジックに描く。
プラネタリウムに勤める高太郎はある日、はかなげな美少女クロエと出会い、恋に落る。やがて二人は結婚し、幸せな日々を過ごす。そんなある日、クロエが突然意識を失い病院に運ばれる。検査の結果、肺に蕾のような影ができていることが判る。手術で摘出してみると、それは本当に睡蓮の蕾だった。順調に回復するクロエだったが、その矢先、今度はもう一方の肺にも蕾が出現していた。片肺の衰弱しているクロエはもう手術ができない。自宅で療養するクロエを懸命に看病する高太郎は、ほかの花が肺の蕾の成長を止めることに気づき、部屋全体を花で埋め尽くすことを思いつくのだが……。

■とにかくともさかりえ!ですよ。個人的には『友子の場合』等の三の線路線のイメージが強い(それも悪い印象ではない)のだけど、本作での”静かで柔らな存在感”がとてもよかった。倒れこんだ永瀬正敏に語りかける「ありがとうねぇ・・・」という言葉が今も胸にしみいる。役者・塚本晋也のダメ男っぷりも印象的だった。