『PTU』

【解説】(allcinema ONLINEより)
香港の夜の街を舞台に、警察内の3つの組織がそれぞれに事件を追うなかで、互いに協力し、あるいは牽制しあうさまをリアルかつスタイリッシュに描いたサスペンス・アクション。複数のエピソードが、勤務の終了する午前4時のタイムリミットへ向かって交錯しながら突き進む。監督は「ザ・ミッション 非情の掟」「ターンレフト ターンライト」のジョニー・トー
PTUとはPolice Tactical Unit=香港警察特殊機動部隊の略称。その任務は、夜の繁華街をパトロールし、街の平和と安全を守ること。この日も隊員たちはホー隊長指揮の下、警邏にあたる。一方、組織犯罪課のサァ刑事は街のチンピラともめ事を起こした際、拳銃を紛失してしまう。そのことを知ったホー隊長は、サァ刑事の窮地を救うため、一緒に拳銃を探してやろうと申し出る。その頃、チンピラ・グループのリーダー、マーが敵対勢力に殺されてしまう。マーがマフィアのボスの息子だったことから特捜課CIDのチョン刑事が捜査に乗り出す。やがて、チョン刑事はサァ刑事に不審を抱く。そして、息子を殺されたマフィアのボスもまた、復讐に向け行動を開始する…。

■内容については予備知識なく、”トリッキーな演出”とか”緻密に練られた脚本”なんてイメージを勝手に期待していたのだが、むしろそれらとは全く逆の作風で、まったり/ねっとりと、一晩の事件に絡むそれぞれの登場人物を描写していく。

■失った拳銃を朝4時までに何としてでも取り戻したいラム・シューの焦燥感、彼に協力しながらもPTU(Police Tactical Unit;香港警察特殊機動部隊)の統率や特捜課CIDの牽制のために絶えることのないサイモン・ヤムの緊張感。派手なアクションのかわりに、そんな彼らの表情をカメラは丹念に描写する。『インファナル・アフェア』でも感じたが、香港映画は役者の顔の”見栄え”ではなく、顔から滲み出る”貫禄”や”味わい”が楽しい。数秒で飽きてしまう韓流のイケメン顔など、華流のおっさん面(づら)の足元にも及ばない。

PTU [DVD]

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