トッツィー

【解説】(allcinema ONLINEより)
実力はあるも演技への執着から役に恵まれない俳優ドーシーは、女装してドロシーに変身、昼メロ『病院物語』の婦長役でデビューを飾るが……。変に男女差別を考えさせるような造りにせず、女装コメデイの面白さを全面に打ち出して純然たるエンタテインメントに徹底した所が良い。ホフマンの芸達者ぶりがあってこそ成し得た作品。ドロシーの共演者であり、ドーシーの憧れの女に扮したJ・ラングはアカデミー助演女優賞を受賞しているが、脇役陣の中ではドーシーのエージェント役のS・ポラック監督が良い味を出している。デイヴ・グルーシンの軽妙な音楽が実に良く合う。

■英語音声を小松政夫の日本語吹き替えに脳内変換。本来はストレートなコメディ映画なんだろうけど、女装という手段でしか役者としての、そして恋する男としてのアイデンティティを確立できないD.ホフマンの姿は”おもろうて、やがて哀しき”の切ない味わい。そんな哀愁に小松氏による吹き替え(16年前の「ゴールデン洋画劇場」)は非常にマッチしていて、今でもそれをよく覚えている。
クライマックス、生放送のカメラの前での一世一代のカミングアウトは2回見て2回とも泣いてしまった。