『ターンレフト・ターンライト』  

【解説】(allcinema ONLINEより)
大人向けの絵本としてアジアで人気を集める台湾の絵本作家ジミー・リャオの原作を、「リターナー」の金城武と「再見 ツァイツェン また逢う日まで」のジジ・リョン主演で映画化したラブ・ストーリー。アパートの隣同士ながら、運命のいたずらですれ違いを繰り返す男女を描く。監督は「Needing You」のジョニー・トーとワイ・カーファイ。
ジョンは無名のバイオリニスト。一方イブは売れない翻訳家。2人は同じアパートの隣同士。しかし玄関を出るときに必ず右側に歩き出すジョンと左に進むイブは一度も顔を合わせたことがなく、互いの存在すら知らなかった。そんな2人はある日、偶然公園で知り合う。そして自分たちが子ども時代に一度出会っていたことを知る。運命的な再会も束の間、突然の夕立に、名も告げぬまま電話番号だけを交換してあわただしくその場を後にする2人。ところが翌朝、不運にも電話番号を書いたメモは雨でにじんで読めなくなっていた。相手のことが忘れられず、必死で互いを捜す2人だったが…。

■ラブコメディを観た感想として「愛すべき佳作」という表現を使うことが多い。多少細部作りこみが甘くても、登場人物が生き生きとして描かれ、ぐっと感情移入できる場面がひとつでもあれば見ていて幸せというもの。

■さて本作。男優は金城武よりももうすこし地味な俳優のほうがよかったかもしれないが、ヒロイン役のジジ・リョンが等身大のキャラでシンプルなルックスも可愛く、(初めて観る女優さんなので先入観もなく)「んなアホな」という偶然が偶然を呼ぶ展開も頭には来ずに楽しく見れた。二人の恋路を邪魔するもう一組の男女のキャラクターも、単なるストーカーではなく共感の持てる台詞や行動をさせているところに、作り手の配慮(≒キャラへの愛情)が感じられてよい。運命のいたずらを示す数多くの”写真”は、すれ違うふたりの心を、そして観ているこちらの心を揺さぶる卑怯な小道具だ。

■クライマックス:互いの留守電に入っていたメッセージから、自分の気持ちを騙しきれずに夜の人込みに駆け出すシーン…名前すら知らない互いの学籍番号を叫びさまようふたり。一番気持ちが盛り上がったこのシーンでふたりが”対面”するのが定石のはずなんだけど、あえてそれを外しまさに”驚天動地”の出会いを持ってくるのが味噌。

■(共同)監督のジョニー・トーについては、注目された『ミッション/非情の掟』を見損なってからこれまで劇場で見る機会もなかったのだが、町山智浩氏がさかんに薦めてくれているので注目したい監督。今年は本格的に日本でも監督作が公開されてくる見込み。

ターンレフト・ターンライト 特別版 [DVD]

ターンレフト・ターンライト 特別版 [DVD]