あえて友と呼ばせてほしい
60年代から70年代にかけての時期が(日本もハリウッドも含めた)映画の最盛期であったとするならば、そこから30〜40年以上が経過した現時点で覚悟しなければいけないものがある。銀幕スターの相次ぐ”訃報”である。その当時をリアルタイムで過ごしていない僕でも昨年、植木御大の訃報を耳にして、”じゃあ次は谷さんだな”と不謹慎ながらもカウントダウンに入ってしまったものだ。そんな風に”親しい人”が遠くに行ってしまうことをある意味ドライに考えていたけれど、この度の君たちの、相次ぐ哀しいニュースには胸が痛む。
観客と映画スターという、薄いスクリーンを挟んで恐らく一生交わることのない関係ではあったけれど、僕は君たちの人生を一瞬でも共有できる立場にいた。
僕の記憶に残る君たちの共通点は奇しくも、君たち自身がそれぞれかけがえのない相手を失なった時の表情だ。スニーカー、あるいはデニムのシャツといった思い出の品を手に取り、思い出を慈しむ君の心の痛み。君たちが気付くことはなかったが、それを見つめる僕は、君たちの痛みを共有し、共に泣いた”友人”だった。
なぜ君たちが生き急ぐようにいなくなってしまったのか、ゴシップ記者のような下世話な好奇心が無いといえば嘘になる。でも今は、君たちと逢えてよかった、君たちの人生の一端を共有することができてよかった、と言わせてもらおう。 どうもありがとう。 どうぞ、心安らかに。
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