心は言葉につつまれて

何にもまして重要だというものごとは、何にもまして口に出して言いにくいものだ。それはまた恥ずかしいものでもある。なぜならば、言葉というものは、物事の重要性を減少させてしまうからだ。言葉はものごとを縮小させてしまい、頭の中で考えているときには無限に思えることでも、いざ口に出してしまうと、実物大の広がりしかなくなってしまう。

15年以上前に初めて読んだキングの『スタンド・バイ・ミー』の出だしの数行は、今でもずっと心にひっかかったままだ。

例えば、やりたいこともやらなくちゃいけないこともいっぱいあって、ひとつひとつ潰していかなくちゃな、どんな順番で?と考えて、はー、明日も頑張らなくちゃ、とため息ついて。
でもちょうどその時に橋の上を渡るバスの窓から見える河のキラキラになぜか胸が一杯になって泣きたくなって”うわーん!○○ちゃーん!”と相方の名前をココロで叫んで。
そんな時の気持ちをどうやって伝えればいい?時が経ってもこのときの気持ちを忘れないためにどうやって残せばいい?

心を伝えたいのに/言葉で伝えたいのに/君に伝えたいのに。